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収入減のフリーランス。夫と情報共有で家計をやりくり&第2子出産に備えるには -  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

収入減のフリーランス。夫と情報共有で家計をやりくり&第2子出産に備えるには - FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2021
07
14

お悩み:フリーランスで働いていますが、出産前後は仕事を休んだり減らしたりしながらなんとか子育てと両立してきました。現在は子どもが保育園に入園し、以前と同じ量まで仕事を増やせる環境になったのですが、なかなか思うようにいかず収入が激減してしまいました。休業中は手当や給付がないので貯金を切り崩してしまったし、すぐには収入増が見込めそうもなく不安です。

一方で、夫は転職により収入が増えました。ですが、生活費の分担は以前と同じなので私の支払いが多くきついです。夫婦で財布が別になっていること、私の収入減を夫に理解してもらっていないことも問題だと思いますが、支出が多いことも気になっています。今の家計の改善点を教えてもらいたいです。

相談者:35歳、女性、既婚、フリーランス(ウェブライター、編集など)

家族構成:夫/会社員(37)、長男(2)と三人暮らし
年収:夫/約600万円、妻/約200万円

加入年金:夫/厚生年金、妻/国民年金
退職金:夫/あり、妻/なし

その他:夫/死亡保険300万円(保険料支払い済)、妻/養老保険(満期保険金約1,000万円)、定期死亡保険400万円


現在の保有資産は以下の通り


グラフ, 棒グラフ自動的に生成された説明

その他、普通預金口座約394万円、子どもの教育資金用貯金約100万円(夫の貯金は不明)


ある1ヶ月の支出は以下の通り

1ヶ月の支出

※夫の支出分の一部は不明

【今後想定しているライフイベント】
・2年後:第2子出産
・5年後:アメリカ旅行
・5~7年後:マイホーム購入
・16年後:第1子大学進学
・20年後:第2子大学進学
・20年後:第1子就職
・24年後:第2子就職
・28年後:夫退職

【想定している年間イベント】
・国内旅行 年3、4回程度

お金のプロからのアドバイス

フリーランスで働く方からのご相談です。出産による休業中の給付、手当がなく、休業明けも収入が以前のようには戻らず、貯金を切り崩していて不安ということです。ヒアリングを行うと、夫と家計が共有できていないだけでなく、それにより小さな無駄遣いが積み重なっていることも判明しました。さらに、2年後には第2子の出産を考えていて、夫が育休を取得予定。それによる収入減も相談者の新たな心配事の一つだと言います。収入が減ってしまった相談者の事例をもとに、家計の立て直しや情報共有の大切さを解説していきます。

■ 相談者の家計、改善ポイント8つ

出産や育児により仕事をセーブし、その後は収入減に悩まされ続けている相談者。子どもは近いうちにもう一人と考えており、「家計的には前途多難」と不安を口にします。ただ、一番の問題は、家計の状況や妻の収入減を夫と情報共有できていない点。その結果、子どもが生まれて出て行くお金が増えているのに、収入の減った妻の負担がさらに大きくなってしまっています。また、情報共有ができていないからこそ、無駄遣いと言える出費に夫が気付いていません。他にも、改善したい点がいくつも。相談者の家計の改善ポイントを以下にまとめてみました。


1.妻の収入減など家計状況を共有する

まず、妻の収入が以前より5分の2程度に減ってしまっていることを夫にきちんと伝える必要があります。フリーランスは、会社員に比べて収入が不安定になりがちな点にも理解を得ましょう。同時に、毎月赤字が発生していること、それにより貯金を切り崩している状態であることをしっかり情報共有する必要があります。
また、漠然とマイホーム購入や第2子出産を予定していますが、資金計画も同時に進めないと実現は難しい点や、赤字続きの家計のままでは、第2子出産時に家計が今以上に厳しくなる点なども、話し合う機会を設けましょう。


2.夫婦で一つの家計簿を見る

ただし、「家計が赤字だ」「私の収入が減っている」と伝えるだけでは、夫が現実味をもって理解してくれるとは限りません。現状にしっかりと危機感を抱いてもらうには、夫婦で一つの家計簿を見ることが大切です。
現在、税金や社会保険料等の支払いを除いた妻の「手取り収入」は、月16万円ほど。相談者である妻が負担する生活費は、家賃(折半)5万1,000円、食費約8万円、保育料約2万8000円、雑費約1万3,000円、その他子どもにかかるお金やレジャー費なども妻の担当です。子どもにかかるお金が新たに追加された分、以前より負担が増しています。また、仕事でかかる経費や、妻の衣類や通信費、美容費、奨学金の返済等をひっくるめると、毎月6~7万円以上は赤字となっています。
一方、夫は転職で収入が上がっていますが、家賃(折半)5万1,000円と水道光熱費約2万円、プロバイダー費約5,000円、ガソリン代約5,000などが担当で、生活費の負担は以前と変わりません。ただし、以前より2万円多く7万円の貯金を入れており、子どもの買い物も負担していることがあるようです。また、妻が把握しきれていない支出増があるかもしれません。それでもなお夫の負担分を増やせる可能性がありますが、ただ口頭で頼むより、実際に家計簿を見たほうが、説得力が増すことは言うまでもないでしょう。
とにかく、自分たちの家計がどうなっているのかを二人で共有しないことには、改善点も見つからず、有意義な話し合いにもつながりません。今回の家計簿は相談者のみが付けていましたが、今後は夫と共有して一緒に家族のお金について考えることが大切です。


3.子どもの買い物はもっと慎重に

現在2歳の子どもには、保育料のほかは、衣類やおもちゃ、子ども用のお菓子やジュース、通信教育などにお金がかかっていますが、保育料以外の買い物一つ一つはさほど大きな金額ではありません。しかし、子ども費の内訳をヒアリングしてみると、無計画な買い物が目につき、「買ったけれど使わなかった」という無駄な出費もいくつか見受けられました。
たとえば、必要以上に衣類を買っている、使う予定がないにもかかわらず「便利そう」という理由だけで様々な子どもグッズを購入しているなどです。金額は小さくても、こうした無駄遣いが毎月積み重なり、赤字につながっています。小さい子どもは成長が早く衣類のサイズアウトも定期的にやってきますが、計画的に買い物をすれば必ず出費は抑えられるはずです。


4.夫の支出増加分を明らかにする

1年半ほど前の転職で、夫の年収は200万円弱アップしています。ただ、毎月の貯金を増やすなどはしているものの、生活費の負担を増やす提案はさほどなかったそうです。年間130万円のボーナスも、家族分となるのは半分以下。車にかかるガソリン代、パーキング利用時の駐車場代などで夫の支出が増えているようですが、支出増加分を明らかにして、できるだけ家族の生活費に多く回してもらいましょう。


5.ボーナスからの家族貯金を増やす

夫のボーナスから家族の貯金になるのは、年間50万円ほど。車のローンの支払いや賃貸の更新料、旅行代などで消えてしまい、ほとんど残らない状況です。コロナ禍でもしっかりボーナスが支給されるのは幸いですが、夫にも家計を把握してもらったうえで、家族貯金を増やす必要性を伝えたいところです。


6.貯金と予備費を分ける

相談者は、毎月の赤字分を自分の個人貯金や家族貯金から切り崩しています。が、これでは将来必要な貯金も目減りしてしまううえ、実際に必要な生活費が見えず、また、突発的な出費にも対応できません。そこで、まずは貯金と予備費を分け、貯金分をきっちり確保しましょう。これまでは貯金から切り崩しをしていましたが、貯金分が金額的には減っても、これをしっかり守るイメージです。ローンの支払い、更新料、旅行代などの予備費はボーナスから支出していますが、毎月の収入からも予備費を積み立て、さらに、ボーナスから貯金もできれば理想的です。生活費は、無駄使いの見直しと夫の費用負担を増やすことで、赤字を防ぎましょう。


7.夫の育休中の家計をシミュレーションする

第2子出産時は、夫が育休を取得する予定です。ただ、出産前後は相談者の収入が現在より減るもしくはゼロになる可能性があり、さらに、夫の収入も下がります。夫が相談者の収入減や家計状況を理解しないままでは、いざ育休をスタートして困る事態になりかねません。まずは現状を把握してもらったうえで、育休中はどのような収入状況になるのかあらかじめしっかりシミュレーションしておくことが大切です。
また、夫が育休を取得できれば子育ては助かりますが、一方で、経済的にあまりに不安が残るようであれば、他の選択肢を視野に入れることも検討しましょう。


8.妻の収入増に尽力する一方、扶養に入る選択肢も

節約、夫の負担増などできる対策はこれまでご紹介してきましたが、最も強力な家計防衛策は何と言っても収入を増やすことです。子どもを預けて仕事ができる今、少しでも収入を元に戻せるよう尽力したいところです。
一方、収入が上がらなければ、夫の扶養に入る選択肢もあります。ただ、税金や社会保険料を支払ってもなお手取りが増えるなら、そちらを目指すべきであることは間違いありません。


■ 相談者の家計は具体的にどう変わる?

では、これまでに挙げた改善ポイントを具体的にどのように実行し、それにより家計はどう変化するでしょうか。

・夫の負担を増やし赤字をストップ
まず、相談者の生活費負担を家賃5万1,000円、食費約8万円とし、残りの収入は奨学金の返済や仕事の経費などに充てることにします。保育料約2万8,000円、雑費約1万3,000円は夫の負担とし、その他レジャー費、子ども費は予算を設けたうえでこちらも夫の負担とします。夫の負担が難しい場合は、貯金する分を減らすなどして対応しますが、夫の支出にも無駄がないか確認することが大切です。これで相談者の負担が減り赤字をゼロにできる可能性があります。
また、現在は夫が支出する7万円を貯金していますが、この一部や相談者の個人貯金を生活費として切り崩すことが続いています。夫が生活費の負担を増やすことで切り崩しをストップするほか、7万円のうち5万円は貯金、2万円は予備費のように分けて貯めるようにします。生活費以外の支出があれば予備費から出せますので、貯金を守ることができます。

・夫が育休取得なら貯金の目的は生活費補てんがメイン
第2子出産時には相談者の収入がゼロまたは減少し、夫が育休を取るとなればさらに収入が減ります。収入のシミュレーションをしたうえで、赤字が発生しそうなら、今後は育休期間中の生活費の補てんのために貯金を行いましょう。
一方、子どもの教育資金は児童手当をコツコツ積み立てており、祖父母からの支援もあるため、過度な心配はいらず今のペースで目標達成が可能でしょう。

・ボーナスから多く貯金できるなら住宅取得資金に
住宅購入をするなら、頭金の準備も考えておく必要があります。夫のボーナスから今より多く貯金できるなら、住宅取得資金として確保しておきましょう。


夫婦でお金に向き合うことで家計は改善できる

夫婦バラバラの財布を一つにしてお金の流れを一緒に確認すると、収入は変わらなくても支出を抑え、貯金がアップできることがあります。また、最近は共働き夫婦が増えており、別会計でも成り立つ家庭が多いものですが、一方で、今回の相談者のように「収入が減ったことをきちんと言い出せず、生活費負担もそのまま」という人は珍しくありません。特に、「自分の方が多く生活費を出していたのに」という責任感からパートナーに伝えられない人が多いですが、それが家計悪化の元凶となることもあります。夫婦できちんとお金に向き合う機会を作ることで、家計は改善できるものです。


筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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